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[No.97] 鎌倉そぞろ歩き(16): 極楽寺・稲村ガ﨑のアートフェスティバル2017

[No.97] 鎌倉そぞろ歩き(16): 極楽寺・稲村ガ﨑のアートフェスティバル2017_b0250968_1818632.jpg 「極楽寺・稲村ガ崎アートフェスティバル2017」は例年通り10月6日~15日の10日間開催された(写真1)。昨年同様、期間全体を通しては天候に恵まれず、雨だけでなく寒々しい日が多かった。その中でも、晴れ間が見えた日に本年度から新規参加されたところを中心に数か所巡ってみたので、以下に紹介しておこう。

<かいな kaina>
[No.97] 鎌倉そぞろ歩き(16): 極楽寺・稲村ガ﨑のアートフェスティバル2017_b0250968_18202910.jpg 今年、わが家近くで初参加した2スポットの1つ。稲村ヶ崎一の谷から極楽寺側の月影の谷に向かう砂小坂の上り口の小高い丘の上の黒壁の洋風の館(写真2)である。中古の建物を入手・改装し、今年の6月末に開店したこころとからだの癒しカフェスポットとのこと。「かいな」とは「腕(うで)」の古い言い方で、身の回りの家具や道具を見直してこころのケアをはかる職人と体の調子を整えるためのケアをはかる職人のお二人が、[No.97] 鎌倉そぞろ歩き(16): 極楽寺・稲村ガ﨑のアートフェスティバル2017_b0250968_18224459.jpgその「かいな」を活かす場として開設されたのだという。ドリンクや軽い食べ物も専門家のサポートで提供されている。

 庭先から靴を脱いでサロン空間にはいると、くつろぎのキッチン&ダイニングを醸し出すセッティング(写真3)がなされていた。家具とインテリア、雑貨には北欧風のデザインが埋め込まれ、若い二人の職人さんとの会話もリラックス感をもたらしてくれたのである。

 中でも、置かれている様々な椅子体験(写真4,5)を勧めていただいた家具修復職人の吉岡良太氏とは、「椅子デザイン」、「デンマーク・デザイン」について私の関心(My BlogのNo.34などを参照)との重なりを見出し、楽しいひとときを過ごすことができた。吉岡氏は、実際、デンマークにおいて椅子デザイン工房での修行体験をされてこられたという。壁に掛けられていた「Hans J.Wegner + Carl Hansen & Son」のポスター(写真6)に象徴される「デンマーク・デザイン」についてあらためて調べ、感じてみたいと思ったのである。
[No.97] 鎌倉そぞろ歩き(16): 極楽寺・稲村ガ﨑のアートフェスティバル2017_b0250968_21153085.jpg[No.97] 鎌倉そぞろ歩き(16): 極楽寺・稲村ガ﨑のアートフェスティバル2017_b0250968_21142644.jpg [No.97] 鎌倉そぞろ歩き(16): 極楽寺・稲村ガ﨑のアートフェスティバル2017_b0250968_5252644.jpg

[No.97] 鎌倉そぞろ歩き(16): 極楽寺・稲村ガ﨑のアートフェスティバル2017_b0250968_21434212.jpg<Think Space>
 上述の「かいな」の直ぐ手前のせせらぎ「音無川」に面してそのスポットは開かれていた。
 古民家風の和モダンを感じさせる外観と室内である。説明をされたのは物静かな若い女性で、玄関(写真7)をはいると「マインドフルネスを軸に“心”と“思考”に着目したワーキング環境の提供」をねらいとしていることが語られた。確かに、雑踏や世間の目を隔てて、この空間(写真8,9)に身を置き、心を落ち着け、深い思考を行いながら、なんらかの創造的な“しごと”をするには、絶好のファシリティのような気持ちになったのである。
[No.97] 鎌倉そぞろ歩き(16): 極楽寺・稲村ガ﨑のアートフェスティバル2017_b0250968_21454491.jpg  [No.97] 鎌倉そぞろ歩き(16): 極楽寺・稲村ガ﨑のアートフェスティバル2017_b0250968_2149367.jpg
 このアートフェスティバルのための企画かと思われる「チベットの瞑想ツール」の紹介が行われていた。シンギングボウル写真10[No.97] 鎌倉そぞろ歩き(16): 極楽寺・稲村ガ﨑のアートフェスティバル2017_b0250968_2155496.jpgと呼ばれる黄銅製の大小の沢山のボウルが並べられており、一つ一つを掌に乗せて、小さなスリコギのような木の棒でその円周の縁を撫で回すと、次第に器が共鳴を始め、倍音効果による不思議な響きが耳のみならず身体に伝わってくるのを感じることができた。もちろん、その大きさや肉厚、材質によってそれぞれ異なることから、心身のリラックス効果も様々なのではなかろうか?実はその後、10/20に藤沢にある百貨店に行ってみたところ、「チベット・ネパール曼陀羅展」が開催されており、ここでも多くのシンギングボールを体験で来たのであるが、不思議な縁を感じたのであった。チベット仏教に由来するとのことだが、近年は、欧州などでも注目されるようになってきたという。
 あらためて身近なせせらぎ「音無川」の風情を意識しつつThink Spaceを後にした。

[No.97] 鎌倉そぞろ歩き(16): 極楽寺・稲村ガ﨑のアートフェスティバル2017_b0250968_21574724.jpg<INAMORI イナモリ>
 一の谷の中央の道筋を辿って突き当りまで上がってゆくと左に折れて七里ヶ浜団地方面に向かうことになるが、そちらに行かず、真直ぐに団地内を登ってゆくと、突き当りの崖下に最近新築された板張り壁面を持つ邸宅がある。こちらがアートフェスティバルに参加されるとは思っていなかったが、そのエントランスのガレージ風のコンクリート造りのギャラリー空間が現れた(写真11)。ガラス張りのエントランスを入ると、若手の女性写真家、福井裕子氏が出迎えてくださった。彼女が、武蔵野美術大学の視覚伝達デザイン学科を修了されてからのこの10年間の足跡を示す作品十数点ほどが、年代順に展示されていた(写真12,13)。

[No.97] 鎌倉そぞろ歩き(16): 極楽寺・稲村ガ﨑のアートフェスティバル2017_b0250968_2159196.jpg[No.97] 鎌倉そぞろ歩き(16): 極楽寺・稲村ガ﨑のアートフェスティバル2017_b0250968_21594814.jpg

[No.97] 鎌倉そぞろ歩き(16): 極楽寺・稲村ガ﨑のアートフェスティバル2017_b0250968_2222051.jpg 写されているのは自然の風景、天空、植物、動物、人物、建物など広範であるが、そこから受ける印象は、一瞬の切り取られた美しいイメージの世界であるように感じた(写真14 =天空に昇る(?))。それは、その場に身を置いた時の彼女の感性そのものを写し出し表現したものだったのか・・・。
自宅に戻って彼女のHP
 http://www.yukofukui.com/
を探してゆったりと見てみると、その味わいが変化してきたように感じた。

◆その他の定番のアートスポット ◆
[No.97] 鎌倉そぞろ歩き(16): 極楽寺・稲村ガ﨑のアートフェスティバル2017_b0250968_4225478.jpg 一昨年、昨年と訪問してきた<鎌倉かわうそ>に今年も伺ってみた。今年いただいた案内葉書には「猫とTokyo Tower」とかかれておりその構図に興味を持った(写真15)。

 1Fの玄関兼展示コーナー(写真16)には、Tokyo Towerをテーマにした5,6人の作家の作品(写真、絵画、水墨など)が並べられていたが、東日本大震災の際に電波発信搭部が壊れたこと、スカイツリーによる役割の変容などを埋め込んだと思われる作品がみられた(写真17,18,19)。しかし、いずれの作品もTokyo Towerへの愛着に溢れているように思え、心を和ませてくれたのである。

[No.97] 鎌倉そぞろ歩き(16): 極楽寺・稲村ガ﨑のアートフェスティバル2017_b0250968_457375.jpg[No.97] 鎌倉そぞろ歩き(16): 極楽寺・稲村ガ﨑のアートフェスティバル2017_b0250968_511249.jpg[No.97] 鎌倉そぞろ歩き(16): 極楽寺・稲村ガ﨑のアートフェスティバル2017_b0250968_515331.jpg[No.97] 鎌倉そぞろ歩き(16): 極楽寺・稲村ガ﨑のアートフェスティバル2017_b0250968_521173.jpg


[No.97] 鎌倉そぞろ歩き(16): 極楽寺・稲村ガ﨑のアートフェスティバル2017_b0250968_510172.jpg[No.97] 鎌倉そぞろ歩き(16): 極楽寺・稲村ガ﨑のアートフェスティバル2017_b0250968_510405.jpg 2Fのギャラリーでは、写真家で猫愛好家の大川裕弘氏の猫の様々な表情の写真や猫文化グッズが展示(写真20)されていた。個人的には「猫島」に群れ集う猫の生態を面白く、細やかにとらえた写真(写真21)に興味を覚えた。

[No.97] 鎌倉そぞろ歩き(16): 極楽寺・稲村ガ﨑のアートフェスティバル2017_b0250968_5115338.jpg 最後に、もう5年間にわたって訪問している<極楽寺ガラス工房>にも触れておこう。天候に恵まれなかったのではあるが、最終日に雨の降る中、今回も訪問させていただいた。セール品を1つ1つ手に取りながら、工人の岩沢ご夫妻とお話しをさせていただいて、手に入れたのはかなり前の制作になるが、薄めの青緑色(御納戸色?)の透明なガラス器の表面を加工して燻し仕上げ風の金色で落ち葉とその背景の帯型を彩色した注ぎ口付の酒器写真22)であった。これからくらしの中で、じっくりと使い込み、味わってゆきたいと思っている。

(2017/10/21 記)
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by humlet_kn | 2017-10-21 18:23 | 出あう | Comments(0)

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